◇身寄りなく、URは「放置」−−足立の旧公団住宅
都市再生機構(UR、旧日本住宅公団)の賃貸住宅団地で、居住者が孤独死した後も、URが家賃を金融機関口座から引き落とし続けていることが分かった。部屋も死亡時の状態のままにされている。URは「退去手続きや残された財産管理の引き受け手がないためのやむを得ない措置」としているが、違法性を指摘する専門家もいる。居住者の高齢化などで孤独死が急増している状況の中、法的な整備を求める声が出ている。
東京都足立区の花畑(はなはた)団地(2725戸)で昨年10月、福岡県出身の76歳の男性が自室で病死し、1週間後に見つかった。
既に8カ月以上が経過し、男性の身寄りも分からないにもかかわらず、URは男性の口座から毎月3万円前後の家賃の引き落としを続けている。
さらに、「居室は維持したまま身寄りを探している」(UR関係者)として、男性の部屋は遺体発見当時のままにされている。しかし、孤独死があったことを知る同じ棟の居住者は「部屋がなんでそのままなのか」と不審そうに話す。
1964年に入居が始まった花畑団地は老朽化が著しいため、URは新たな入居募集をせず、一部を取り壊して再開発する方針を決めている。
UR東日本支社総務企画部は「死亡後も家賃の引き落としが続くケースはある。期間は個別の事情で異なるが、長期間に及ぶ場合は一部を遺族に戻したり、国庫に入れる」としている。
URは全国で約1800団地77万戸の賃貸住宅を管理。URが統計を取り始めた99年度の孤独死は207人だったが、毎年増え続け、最新の06年度では517人で2・5倍に膨らんでいる。
今回の問題について、経済アナリストの森永卓郎さんは「民営化してURになる前の日本住宅公団は居住者に親身で、考えられない対応だ。利益確保のため意図的に放置したと見られても仕方がない」と批判する。
羽衣国際大の岸本幸臣教授(住居学)は、「入居者が亡くなった時点で、民法上の賃貸借契約は解約されたと解釈すべきで、その後の家賃徴収は違法だ。しかし、親族が見つからずに荷物が搬出されない場合はURも対処に迷うだろう。身内のない独居老人が亡くなるケースは今後、増える可能性があり、民法上問題が出ない対処方法を法的に整備する必要がある」と指摘している。
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